「うちの子、ゲームばっかりで…」「YouTubeしか見ないんですよね…」
子育て中の友人と会うと、だいたいこういう話になります。
私もそうです。
小学2年生の息子が恐竜にハマりすぎて図鑑を5冊も買わされたときは、正直「またか」と思いました。
はじめまして、美容・ライフスタイルライターの宮崎彩花です。
以前は美容雑誌の編集部で10年ほど働いていて、今はフリーランスとして記事を書いています。
2人の子供(小2の息子と年中の娘)を育てているので、「子供の好きなことにどこまで付き合うか」は日々のリアルな悩みです。
先日、いくつかの事例を調べていて気づいたことがあります。
さかなクン、藤井聡太さん、大谷翔平選手、そして美容家のたかの友梨さん。
分野はバラバラなのに、「子供の好きを伸ばした親」という視点で見ると、面白いくらいに同じことをしていました。
この記事では、そんな著名人の親たちの事例から「好きを伸ばす親の姿勢」について考えてみます。
目次
「好き」を見つけた子供が伸びる理由
子供が何かに夢中になっている姿を見ると、嬉しい反面「それ、将来役に立つの?」と不安になることがあります。
私も息子の恐竜ブームに対して、何度かそう思いました。
ただ、教育心理学の分野では、子供自身が「やりたい」と感じて取り組む内発的動機づけが、学びの質を大きく左右するとされています。
心理学者のデシとライアンが提唱した「自己決定理論」によると、人が自発的に成長するには次の3つが必要です。
- 自分の意思でやっていると感じられること(自律性)
- 「できた」という手応えがあること(有能感)
- 周りの人に認められていると感じること(関係性)
この3つが揃うと、子供は誰に言われなくても勝手に学び始めます。
逆に「やりなさい」と押し付けられた瞬間、自律性が失われる。
「できた」と感じる前に「違う、こうやって」と修正されると、有能感も削がれます。
親が良かれと思ってやる介入が、実は逆効果になっているケースは少なくありません。
ベネッセ教育総合研究所の記事でも、岡部悟志主任研究員が「興味を示したことはとことんやらせる」「失敗を責めず受け入れる」ことの大切さを解説しています。
理屈としては分かります。
でも「とことんやらせる」は、実際にはかなり勇気がいる。
だからこそ、実際にそれをやった親たちの事例が参考になります。
著名人の親たちが実践していたこと
さかなクンの母が貫いた「それでいい」
さかなクンは幼少期、タコに夢中になりました。
毎日タコの絵を描き、タコの図鑑を読みふけり、やがて魚全般に興味が広がっていきます。
学校の先生から「授業に集中してほしい」と注意されたとき、母親の返答がすごかった。
「うちの子は魚が好きなので、それでいいんです」
この言葉、なかなか言えないと思いませんか。
成績を見せられて、先生に「困っています」と言われているわけです。
普通なら「すみません、家でも言い聞かせます」と答えてしまう場面です。
でも母親は「みんながみんな同じように育ったらロボットみたいじゃないですか」と返しています。
結果的に、さかなクンは東京海洋大学の名誉博士になり、内閣総理大臣賞まで受賞しました。
さかなクンが大人になってから「仕事を辞めたい」と相談したときも、母親は「そう思うなら、そうしたらいいよ。一度しかない人生なんだもの」と送り出しています。
子供時代だけでなく、大人になってからも一貫して「あなたの判断を信じる」というスタンスを崩さなかった。
のちに母親は「自由に泳がせたら本当にお魚になったね」と笑ったそうです。
子供の頃の「魚でいい」から何十年も経って出てきたこの言葉に、見守り続けた母親の覚悟が詰まっています。
藤井聡太の両親が選んだ「見守る」
将棋棋士の藤井聡太さんが将棋に出会ったのは5歳のとき。
祖父に教えてもらったのがきっかけで、そこから一気にのめり込みます。
ご両親の方針はシンプルでした。
「子どもにやりたいようにやらせる。私たちはそれを温かく見守る」
面白いのは、両親自身が将棋の素人だったこと。
駒の動かし方を知っている程度で、息子の指した手が良いか悪いかもわからない。
でも「子どもが夢中になっているものを共有したい」と思い、ずっとそばにいました。
藤井さんは3歳のときにキュボロ(立体パズル)を親でも作れないレベルで完成させ、小学生のときには500ページある将棋の定跡書を、符号だけを頼りに独力で読破しています。
小学6年生では、プロ棋士も参加する詰将棋選手権で全問正解して優勝。
将棋で負けて大泣きすることもあったそうですが、ご両親は感情表現を無理に抑えつけることはしなかったといいます。
悔しさも含めて、子供の中で起きていることをそのまま受け止めていた。
親が将棋を教えたわけではありません。
「好きにやっていいよ」と環境を整えて、邪魔しなかった。
たったそれだけのことですが、そのシンプルさを貫くのが一番難しいのかもしれません。
大谷翔平の父が守り続けたルール
大谷翔平選手の父・徹さんには、ひとつの決めごとがありました。
「野球の練習をしろ」と一切言わないこと。
スポーツライターの吉井妙子氏は著書『天才を作る親たちのルール』の中で、超一流選手の親に共通する特徴をこう述べています。
「頭ごなしに怒らないこと、子どもの考えを否定しないこと」(参考:ダイヤモンド・オンライン)。
大谷家ではリビングでの家族団らんの時間を大切にしていたそうです。
子供が安心して夢を語れる空気がそこにはあった。
だから大谷選手は小さい頃から臆せず「160kmを投げる」「メジャーに行く」と口にしていました。
「練習しろ」の代わりに、夢を語れる場所を作る。
地味に見えますが、子供にとってはそれが何よりの後押しになっていたはずです。
この話を聞いたとき、私は自分の家庭を振り返ってしまいました。
息子が「恐竜博士になりたい」と言ったとき、「いいね、でも勉強もしようね」と返した自分がいます。
大谷選手の父親なら、きっと「恐竜博士、いいじゃん」とだけ言ったんだろうなと思います。
美容家・たかの友梨の娘が料理教室に通わず腕を磨いた話
美容業界の取材をしていた頃、たかの友梨さんの名前はよく耳にしていました。
ただ、「お子さんがいる」という話はあまり知られていません。
たかの友梨さん自身は3歳で養子に出され、育ての母に「男に頼らないで生きていきなさい」「手に職をつけなさい」と教えられて育ちました。
その言葉どおり、単身でフランスに渡ってエステティックを学び、帰国後に今の事業を築いています。
自身の幼少期の原体験から児童養護施設の支援を30年以上続け、紺綬褒章を2度受章するなど社会貢献にも力を注いできた方です。
そんなたかの友梨さんの娘・友花さんのエピソードが面白い。
料理教室に一度も通ったことがないのに、イカ墨のスパゲッティやグリンピースのスープ、さらには本格的なタイ料理まで作ってしまいます。
2026年1月のInstagramでは、友花さんの手料理の写真とともにこんなコメントが投稿されていました。
「どこにも習いに行っていないのに、こんなに作れるようになって、娘の成長をしみじみと感じています」
さらに3月には、友花さんが作ったヤムウンセンやガパオチキン、レッドココナッツカレーといった本格タイ料理の写真も投稿されています。
「どれも本格的で、お店みたいな美味しさにびっくり」とコメントしており、わずか2か月で和洋からアジア料理まで広がっていく娘の料理の幅に驚いている様子が伝わってきます。
ここで注目したいのは、たかの友梨さん自身がビーガンで、動物性食品を一切口にしないこと。
一方の友花さんは肉や魚介をふんだんに使った料理を作っている。
親の食の価値観を、娘には押し付けていないわけです。
これは前述の3つの事例と見事に重なります。
さかなクンの母が「魚が好きならそれでいい」と言ったように、藤井聡太さんの両親が将棋素人でも見守ったように、たかの友梨さんもビーガンだからといって娘の料理の方向性に口を出さなかった。
実際のエピソードはたかの友梨さんが子供の成長を綴ったInstagram投稿で見られます。
娘の料理を前にした、飾らない母親の言葉が印象的です。
4つの事例に共通する親の姿勢
ここまで4組の親子を見てきました。
分野はまったく違いますが、親の姿勢にはいくつかの共通点があります。
- 子供が興味を持ったことに「やめなさい」と言わなかった
- 親自身がその分野に詳しくなくても、否定せずそばにいた
- 自分の価値観や「こうあるべき」を押し付けなかった
- 結果よりも、子供が没頭している過程を認めていた
並べてみると、どの親も「教える」より「邪魔しない」を選んでいます。
さかなクンの母は魚に詳しくないし、藤井さんのご両親は将棋の素人、大谷選手の父親は元社会人野球選手でしたが息子の練習には口を出さなかった。
たかの友梨さんにいたっては自分がビーガンなのに、娘の肉魚料理を「お店みたい」と褒めている。
親が先回りして最適な道を用意するのではなく、子供自身が見つけた道を歩くのを後ろから見ている。
この構図が4組すべてに当てはまっていたのは偶然ではないでしょう。
文部科学省も「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援」を推進しており、子供の個性を活かす教育の方向性を打ち出しています。
国の方針としても、「みんな同じ」から「一人ひとりの強みを伸ばす」へと動いている。
家庭での関わり方も、同じ方向を向いて良いのだと思います。
「見守る」と「放置」は違う
ただし、一つだけ補足しておきたいことがあります。
「見守る」と「放置」はまったく違います。
今回の4組の親は、全員が子供の「好き」に関心を持ち続けていました。
さかなクンの母は魚の絵を一緒に見ていたし、藤井聡太さんのご両親は将棋がわからなくても大会に付き添った。
大谷翔平選手の父は練習を強制しない代わりに、家族で夢を語り合う時間を毎日作っていました。
たかの友梨さんは自分が食べられない料理であっても、娘の成長を喜んでSNSで発信しています。
関心を持つけれど、口は出さない。
応援するけれど、方向は決めない。
この距離感が「見守る」の正体なのだと、4つの事例を並べてみてあらためて感じました。
具体的にはどうすればいいのか。
私なりに整理してみると、次のようになります。
- 子供が何かに没頭しているとき、途中で止めない
- 「もっとこうしたら?」ではなく「今日は何やってたの?」と聞く
- 親の得意分野でなくても、興味を持ってそばにいる
- 成果が出なくても、続けていること自体を認める
どれも当たり前のことに見えます。
でも、毎日の生活の中で全部やるのはけっこう大変です。
「宿題はやったの?」と先に聞いてしまうのが普通ですから。
私自身も、息子の恐竜ブームに「またか」と思った話を冒頭で書きました。
今でもたまに思います。
でもこの記事を書きながら気づいたのは、「またか」の裏に「もっと勉強してほしい」という自分の期待が張り付いていたことでした。
息子にとって恐竜は、さかなクンにとっての魚であり、友花さんにとっての料理かもしれない。
そう思えたとき、少し肩の力が抜けました。
まとめ
子供の「好き」を伸ばすために、特別なメソッドは必要ありません。
さかなクン、藤井聡太さん、大谷翔平選手、そしてたかの友梨さんの娘・友花さん。
4つの事例が示していたのは、「口を出さずに関心を持ち続ける」というシンプルな姿勢でした。
子供が何かに夢中になっているとき、「それ、意味あるの?」と口にしたくなる気持ちはよくわかります。
でも、その「意味のなさそうなこと」が、子供の人生を変える何かになる可能性はゼロではないはずです。
さかなクンの魚も、藤井さんの将棋も、友花さんの料理も、最初から「将来役に立つ」と計算して始めたものではありませんでした。
ただ好きだった。それだけです。
そしてその「ただ好き」を邪魔しなかった親がいた。
まずは子供が夢中になっているものを、横から一緒に覗いてみる。
それだけで十分な第一歩になると思っています。
最終更新日 2026年7月24日 by obliok









