元美容誌編集者が選ぶ「子育て世代に読んでほしい」経営者の名言集

美容・ファッション

はじめまして。フリーライターの宮崎真由です。美容専門の出版社で10年ほど編集者をしていました。在職中はエステサロンの経営者や美容業界の著名人を片っ端から取材する日々。退職後はフリーランスになり、今は5歳と2歳の子供を育てながら執筆しています。

正直なところ、子育てしながら働くのはしんどいです。締め切り前に限って子供が熱を出す。保育園のお迎えに間に合わせるために、ランチを食べ損ねる。「なんで私ばっかり」と思う夜もあります。

そんなとき、私が読み返すのが取材ノートに書き残した経営者たちの言葉です。ビジネスの最前線で戦いながら、子育てや家族との時間も大切にしてきた人たちの言葉には、育児本にはない重みがあります。

今回は、編集者時代の取材経験やその後のリサーチをもとに、子育て世代にこそ届けたい経営者の名言を厳選しました。どれも「がんばれ」とは違う角度から、背中を押してくれる言葉ばかりです。

たかの友梨「一生働ける技術を身につけることが、女性の自立には大切」

美容業界で取材をしていると、たかの友梨さんの名前は避けて通れません。「たかの友梨ビューティクリニック」を一代で築き上げた、業界のパイオニアです。

私が特に心に残っているのは、たかの友梨さんのこの言葉。

一生働ける技術を身につけることは、女性が自立していく上で、とても大切なこと。

単に「働きましょう」という話ではありません。技術、つまり自分の手で稼げる力を持つことが自立の根っこだという意味です。子育て中は「今は育児に専念すべきかも」と悩む場面が何度もありますが、この言葉を思い出すたびに「キャリアを手放さなくていいんだ」と思えます。

もう一つ、たかの友梨さんの言葉で印象深いのがこちら。

それまで身につけてきたキャリアを結婚や子育てで捨て去ってしまうのは、自立とは言えません。

厳しいようで、実はとても優しい。「捨てなくていい」と言ってくれているからです。

60歳で双子の母になった決断

たかの友梨さんの人生そのものが、一つの名言のようなところがあります。実は彼女自身、幼少期に養子に出された経験を持っています。デイリースポーツの記事によると、戸籍謄本を取り寄せた際に自分が養子であることを知り、それまで反発していた育ての母への感謝に気持ちが一変したそうです。「この親に恩返ししたい」という想いが、仕事への原動力になったと語っています。

そして60歳のとき、たかの友梨さんは双子の子供を養子に迎えました。長年にわたって児童養護施設「鐘の鳴る丘 少年の家」の後援会長を務め、子供たちの支援活動を続けてきた中での決断です。たかの友梨さんと子供たちへの想いについて綴ったブログ記事でも触れられていますが、自身が養子として苦しんだ経験が、この行動の根底にあります。

年齢や立場に関係なく、「この子たちのために何かしたい」と思ったら行動する。子育て世代の私たちが、「もう遅い」「今さら無理」と自分にブレーキをかけがちなことを考えると、たかの友梨さんの生き方から学べることは多いはずです。

南場智子「大事な子どもがいるのに会社に来てくれてありがとう」

DeNAの創業者・南場智子さんは、日本を代表する女性経営者の一人です。取材でお会いしたことはないのですが、彼女の言葉は美容業界の友人経由で知りました。

南場さんは、会社にまだ利益があまりなかった時期にも、子供を持つ社員に対して「大事な子どもがいるのに会社に来てくれてありがとう」という気持ちを持ち、個人のポケットマネーから支援していたそうです。

この姿勢、すごくないですか。

普通、経営者が社員にかける言葉は「会社のために頑張ってくれてありがとう」です。でも南場さんは「子供がいるのに来てくれて」と言う。子育て中の社員が抱える葛藤を、ちゃんと見ている人の言葉です。

私がこの話に惹かれるのは、「制度」ではなく「気持ち」の話だからです。育休制度や時短勤務は制度として整備されてきました。でも制度があっても、上司や同僚の空気が冷たければ使いにくい。南場さんは制度の前に、まず「ありがとう」という空気を作った。そこがほかの経営者と違うところだと感じます。

「ことに向かう力」という考え方

南場さんの有名な言葉に「ことに向かう力」があります。「ひと(誰が問題か)」ではなく「こと(何が問題か)」に向き合うべきだという考え方です。

子育て中、職場で「あの人は時短だから」とか「子供がいるから急に休む」と言われることがあります。そういうとき、南場さんの言葉は効きます。問題は「人」ではなく「仕組み」にある。誰かを責めるのではなく、どうすれば回るかを考える。

もう一つ、南場さんは「人は仕事のみによって育てられる」とも語っています。子育て中は仕事のチャンスが減りがちですが、だからこそ目の前の仕事に全力で取り組む意味がある。量より質で勝負する時期だと捉えれば、少し気持ちが楽になります。

経沢香保子「両方とるための方法を考えるっていうのもあり」

経沢香保子さんは、26歳でトレンダーズ株式会社を創業し、当時の女性最年少で上場を果たした起業家です。現在はベビーシッターのマッチングサービス「キッズライン」を運営しています。

3度の出産を経験し、そのたびに事業も成長させてきたという経沢さんの言葉は、実体験に裏打ちされた重みがあります。

女性って育児と仕事のどっちをとるかとか、時短じゃないと働けないとか悩むこともあると思うけど、両方とるための方法を考えるっていうのもありだと思う。

「どちらかを選ばなきゃ」という前提そのものをひっくり返す発想。私はこの言葉を聞いたとき、肩の力が抜けました。

育児か仕事か。フルタイムか時短か。保育園か幼稚園か。子育ての現場って、いつも「二択」を迫られている気がします。でも経沢さんは「第三の選択肢を自分で作る」ことを実践して見せた。しかも、妊娠出産のたびに会社の業績がどんどん良くなっていったというから驚きです。子供が生まれることで、仕事への集中力やタイムマネジメント力が上がる。逆説的ですが、実体験として語られると説得力があります。

「チームを組む」という発想

経沢さんが実践したのは、家族とベビーシッターでシフトを組み、自分はそのチームをプロデュースする立場になるという方法でした。仕事のプロジェクトマネジメントと同じ感覚で育児の体制を整えたわけです。

Business Insider Japanの記事でも、複数の女性経営者が育児サポートの外部委託やリモート勤務の活用など、同じような工夫を語っています。

子育てを「自分一人で抱えるもの」と思い込まないこと。これは名言というより、実践知です。私自身、フリーランスになってから「全部自分でやらなきゃ」と思っていた時期がありましたが、経沢さんの考え方に触れてからは、週に1回だけでもシッターさんにお願いするようになりました。罪悪感もありましたが、その数時間で仕事が進むと、子供と向き合う時間の質も上がる。不思議なものです。

柴田陽子「この人と関わってよかったと思われるように尽くす」

ブランドプロデューサーの柴田陽子さん。企業のブランディングや店舗プロデュースを手がける株式会社柴田陽子事務所の代表です。

柴田さんが仕事で大切にしているのは、「気づき」と同じくらい「気配り」。その原点は、子供の頃に母親から教わった「人に喜んでもらうこと」「人が欲しているものを察すること」だそうです。

この人関わってよかったと思われるように尽くそう

仕事を受けるかどうかを決めるとき、柴田さんは依頼内容ではなく「人」を見るといいます。この判断軸は、32歳で事務所を設立してから20年以上ブレていません。

これ、子育てにも通じる話だと思います。子供が何かを訴えてきたとき、言葉の内容よりも「この子は今どんな気持ちなんだろう」と察する力。仕事で鍛えた観察力が、家庭でも活きる場面は意外と多いものです。

母から子へ受け継がれるもの

柴田さんのエピソードで面白いのは、仕事のスキルの根っこが「母の教え」にあるという点です。子育て中の身としては、これは希望のある話。今の私が子供に何かを教えているつもりはなくても、日常のやり取りが将来の種になるかもしれません。

子供は親の言葉より、行動を見ています。仕事に打ち込む姿、人に丁寧に接する姿。そういう「背中」が、いつか芽を出す。柴田さんの経歴は、そのことを教えてくれます。

正直、毎日バタバタしていると「子供に何も伝えられていないな」と落ち込むこともあります。でも柴田さんの話を聞くと、特別な教育をしなくても、親が真剣に生きている姿は勝手に伝わるのだと思えます。それだけで十分なのかもしれません。

名言から浮かび上がる3つの共通点

ここまで紹介した経営者たちの言葉を振り返ると、共通するメッセージが見えてきます。

完璧を目指さない

全員に共通しているのは、「完璧な母親」を目指していないこと。仕事も育児も100点である必要はなく、「続けること」そのものに価値があるという姿勢です。

たかの友梨さんは60歳で双子を迎え、南場さんはポケットマネーで社員を支え、経沢さんはシッターと連携した。どれも「理想の母親像」から外れているかもしれませんが、それぞれのやり方で子供に向き合っています。

人の手を借りる

経沢さんのチーム発想、南場さんの「仕組みで解決する」考え方に代表されるように、成功している経営者ほど「一人で全部やろうとしない」傾向があります。

子育て世代が参考にしたいポイントを整理すると、こうなります。

  • 家事代行やシッターなど外部サービスを「投資」として捉える
  • パートナーや家族とのタスク分担を明確にする
  • 「助けを求めること」を弱さと捉えない

自分の軸を持つ

たかの友梨さんの「技術を身につける」、柴田さんの「人を見て仕事を選ぶ」。どちらもブレない軸を持っている人の言葉です。

子育て中は周囲の意見に振り回されやすい時期。「母乳じゃないとダメ」「3歳まではそばにいないと」。善意のアドバイスが、かえってプレッシャーになることもあります。そんなとき、自分なりの判断基準があるかどうかで、心の安定感がまるで違います。

4人の経営者の名言を表にまとめてみました。

経営者代表的な名言子育て世代へのメッセージ
たかの友梨一生働ける技術を身につけることが大切キャリアは捨てなくていい
南場智子大事な子どもがいるのに来てくれてありがとう感謝の空気が制度を活かす
経沢香保子両方とるための方法を考えるのもあり二択に縛られない
柴田陽子関わってよかったと思われるように尽くす日常の姿が子供に伝わる

まとめ

経営者の名言というと、ビジネスの成功法則みたいなイメージがあるかもしれません。でも今回紹介した言葉はどれも、仕事と子育ての間で揺れる人にこそ響くものばかりでした。

もう一度、心に留めておきたいメッセージを振り返ります。

  • 技術を身につければ、キャリアは手放さなくていい(たかの友梨)
  • 子供がいる人への感謝を忘れない組織をつくる(南場智子)
  • 育児と仕事、両方とる方法を考えていい(経沢香保子)
  • 気配りの力は、母から子へ受け継がれる(柴田陽子)

私自身、まだまだ試行錯誤の真っ最中です。でも、先を歩いてくれた人の言葉があるだけで、「このまま進んで大丈夫だ」と思えます。この記事が、同じように奮闘する誰かの支えになればうれしいです。

最終更新日 2026年4月22日 by obliok